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映画『リバー、流れないでよ』ゆったりドタバタ、不思議な空気のSFコメディ!

 

『不適切にもほどがある!』第3話で曽我と再会したことをきっかけに、やっぱり観たいとヨーロッパ企画の映画『リバー、流れないでよ』を配信で観ました。

 

 

前から見たかったのですが、加入している見放題の配信には入ってなかったので、久しぶりにレンタル(有料)で観ました。有料で観たのは『コンフィデンスマン』の映画以来です。

 

 

『リバー、流れないでよ』(2023)は上田誠が原案・脚本を、映像ディレクターの山口淳太が監督を務める、ヨーロッパ企画制作によるオリジナル長編映画第2弾てす。

 

 

舞台は、京都・貴船の老舗料理旅館「ふじや」。

静かな冬の貴船。ふじやで働く仲居のミコトは、別館裏の貴船川のほとりに佇んでいたところを女将に呼ばれ仕事へと戻る。

だが2分後、なぜか再び先ほどと同じく貴船川を前にしている。

ミコトだけではない、番頭や仲居、料理人、宿泊客たちはみな異変を感じ始めた。

ずっと熱くならない熱燗。なくならない〆の雑炊。永遠に出られない風呂場。自分たちが「ループ」しているのだ。しかもちょうど2分間!

2分経つと時間が巻き戻り、全員元にいた場所に戻ってしまう。そして、それぞれの“記憶”だけは引き継がれ、連続している。

そのループから抜け出したい人、とどまりたい人、それぞれの感情は乱れ始め、

それに合わせるように雪が降ったりやんだり、貴船世界線が少しずつバグを起こす。

力を合わせ原因究明に臨む皆を見つつ、ミコトは一人複雑な思いを抱えていた―――。

 

 

2分て!!!

2分って凄くないですか?めちゃくちゃ短いですよ?!

 

例えば、短い時間を繰り返す映画を作ろうと思ったとして、2分にします?

2分という短さに日和って、なんとなく5分くらいにしちゃいそうじゃないですか?もしくは3分。ウルトラマンもそれで敵をやっつけられたし、と考えて超絶短くても3分。

 

 

そもそも同じ時間が繰り返すということは、時間が巻き戻った時には自分もスタート地点に戻っちゃうわけですよ。誰かと話していても、一回自分の立ち位置(映画では「初期位置」と呼んでいる)に戻って、そこからまた話していた誰かと会わないといけない。

……めちゃくちゃ時間ロス!

 

 

 

映画の中で2分間のループが始まった時、これは大変だと思いました。

仲居である主人公のミコトは、別館裏の貴船川のほとりからスタート。そこから階段を登り、別館の入り口で番頭(これが曽我、いえ、永野宗典さんです)と会い、部屋を掃除したり、あっちの客に呼ばれたりこっちの客に呼ばれたり、の繰り返し。

 

で、同じようなシーンを見せられるのは辛くなりそうかな、と思ったんです。

確かに、川のほとりの初期位置からスタートして別館入り口あたりで番頭と会ったり女将と会ったり、同じ仲居の仲間と会ったり、のくだりは何度も繰り返します。

2分でこれ繰り返すってキツそうじゃないですか?

 

 

それがですね、何故だか全然大丈夫なんです。

 

 

 

雑炊が永遠に食べ終わらないと言われたら味変になるものを持っていったり、風呂から永遠に出られないと言われたら柚木湯にできるよう柚木を持って行ったりと、なんだかみんなとても建設的。

多少パニックになるものの、すぐに現状を受け入れ、いつかまぁ元に戻るだろうと目の前のお客さんの対応を続けます。

 

ミコトが旅館の入り口で誰かと落ち合って客のトラブルを解決するというくだりは何度も繰り返されるものの、次のターンは何が起こるのかなとワクワク。

 

途中、これからについて話し合おう!と旅館のスタッフが本館に集合するんですけど、せっかく集まっても話が脱線してターンが終了、お客さんも合流してきてターンが終了、と飽きのこない2分間が続きます。

 

 

しかも『リバー、流れないでよ』は2分のループを本当に2分間ワンカットで撮っていて、実際に劇中の1ターンの時間もきちんと2分間になっているらしいです(2分より長くても2分より短くても撮り直しだったとのこと)。

 

 

めちゃくちゃ厳しーーーーーー!!!!

 

 

出演者の皆さん、お疲れ様でした!何度も階段を登ったカメラマンさん、音声さん、お疲れ様でした!

 

 

この映画、面白いのが「時間軸のズレ」で天候が安定していないところです。

同じ時間を繰り返しているはずなのに、よく晴れていたり、雪が降り出していたり、めちゃくちゃ積もっているかと思えば、雪が消えていたり。

あの景色の変化もループを楽しめる1つになっていると思います。

 

 

さて、時間がループしてる、というとんでもない状況の中でも、ドタバタしつつも何故か前向きに明るくループしていた登場人物たちですが、やはりループに精神が疲れていき、取っ組み合いの喧嘩が起きたり、3階から身を投げてしまったり、時のループに混乱して自殺してしまったりと不穏な空気が続きます。

 

時間が戻るとはいえ、なかなかヘビーな状況ですが、この映画のよいところはそのターンがサクッと終わるところです。

しかも1回死んだ人たちがあまりにあっけらかんとしてるので観てるこっちが「おいおいおいおい、さっきのターンがループのラストだったらどうすんだよ!!!」と危機感を煽ってやりたくなりました。よかったよ。ループが続いてよかったよ。

 

 

 

何で時間がループしてたかというラストも好き。

サマータイムマシン•ブルース』にしろ、

『時をかけるな、恋人たち』にしろ、

いつもタイムマシンがショボいところが好きです!

 

 

そして皆さま、2分って短いようで実はけっこう長いです。

熱燗はできませんし、雑炊は食べ終わりません。でも、掃除も終えられるし、喧嘩もできるし、お風呂から本館まで行くこともできるし、愛を深めることも、愛の逃避行をすることもできるんです。

っていうことはですよ。1時間あれば、1日あれば、1週間あれば、1ヶ月もあれば、人間なんでもできちゃうんじゃないかなという感じがしてきます。

日々の仕事や家事、育児に追われて、ついつい「時間がない」と思いがちですけど、もしかしたら時間って使い方によっては無限にあるのかもしれません。

そんなことを考えた映画『リバー、流れないでよ』でした。

 

 

 

おしまい!

 

 

 

 

 

ちなみに私は、お風呂でループを繰り返しているお客さんのために曽我(番頭)がゆずを用意しているところが1番キュンときました。

たとえ持って行ったとしておそらく1分もゆず湯を楽しめないのにそれでも前向きに少しでもお客さんを楽しませようとしているところが好き。