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見終わった後に残るもやもやを楽しむ映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』

タイトル『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』がカッコいい。
最初に公開されたティザービジュアル(何か考えている露伴の横顔アップ)がかっこいい。
キャッチ「"この世で最も黒く、邪悪な絵"の謎を追い、美の殿堂へーー」がかっこいい。
本ビジュアル(ルーヴル美術館を背景にひとり佇む露伴)がかっこいい。
何より、黒一色の高橋一生がかっこいい。
※ピンとこなかった方は是非ググってください。

ということで映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』を見ました。
子供ができてからなかなか映画館に行けないので、現在見たい映画はもっぱら配信での視聴です。



NHKのドラマ『岸辺露伴は動かない』を初めて見た時は衝撃でした。
ジョジョの奇妙な冒険』も『岸辺露伴』も原作読んだことないんですけど、そのイラストや、以前山崎賢人で映画化された『ジョジョの奇妙な冒険』から、どうしても漫画チックになるものなんだろうなと思ってたんです。

 


そしたら、"あれ"ですよ。

 



めちゃくちゃかっこいい高橋一生が出てきてマジでびびりました。


正直、髪型変なんですよ。服も変なんです。その辺はたぶん原作に忠実です。
それでも!そんなことは物ともせずめちゃくちゃカッコいいという謎の事態。

ストーリーも不思議な現象を描いてるので下手すると本当に目も当てられないドラマになりそうな所を、優れた脚本、出演者の演技力、世界観を創り出す美術の力技で本格ドラマとして成立させています。


特に森山未來が出演した第2話の「くしゃがら」が強烈に印象に残っています。
いやー、怖かった…。
岸辺露伴と同じ漫画家の役だったんですけど、禁止用語の「くしゃがら」を調べるうちにどんどん侵食されていくというか狂っていくんですよ。
その狂気が鬼気迫りすぎて、改めて森山未來のすごさを認識しました。

 


さて、今回のルーブル編。
最初はなかなかいい滑り出しでした。
が、途中の過去回想シーンが長かった。
わかります。とても重要なシーンでした。ラストにも繋がりますし、大事に描くべきシーンだったと思います。
思いますが、2時間の映画の中であの回想シーンはちょっと長かった気がします。あるいは私が配信で見たからそう感じたのかもしれません。映画館で集中して見てたらそんなこと思わなかった可能性もあります。

回想シーンへの導入はとても自然で、すっと回想に入れました。
けれど時間が経つにつれて、やはり早く現代のシーンに戻らないかなと思ってしまったのも事実です。
他の方はわかりませんが、私は、高橋一生岸辺露伴を見たいのです。ドラマ版から高橋一生岸辺露伴に魅せられているので、どうしても青年期の露伴を長く見ていると「これじゃない…」感が出てしまい、そわそわしました。(青年期役の彼が悪いとかでは全くなく!)
夫に至っては「ダメだ、眠い」と回想シーンの途中で戦線離脱(夜中に見てるのでね)。

回想シーンが終わって露伴たちがルーブルに行ってからは、テンポもよくなって私のテンションも戻りました。
フランス語も話せる岸辺露伴。かっこいい〜。
そんでもって、ルーブルが似合うのよ。めちゃくちゃ似合う。いつも派手な格好してる編集者の飯豊まりえもシックな黒い服を着ていて、ルーヴルと露伴を邪魔してない。
露伴ルーブルでもサインを求められてて、格の違いを見せつけててかっこよかったです。

そして解き明かされる「この世で最も黒くて、最も邪悪な絵」の正体。

…絵、超怖かったです。
ヒィイイイイイイイイイ!!!!!
って声に出ましたね。
なんつー威力、なんつー呪い。水なんて一滴もないところで溺れかけるところなんて一歩間違えたらもはやホラー。

何度も言いますけど、ほんと下手したらB級のホラー映画になってしまいそうなスレスレのところを攻めてるんですよ。それをルーヴルという圧倒的な存在と、出演者の演技力によって見ている人に有無を言わせない。


見終わって思ったのは「あの女は結局何だったの?」というものです。生きてるの?死んでるの?生きてるわけないけど、じゃあ何であの時あそこにいたの?どうしていなくなったの?何が目的だったの?露伴の前に現れたのはわざとだったの?あの泣きついたのはなんだったの?そもそもあの人が黒い色に執着したのは何だったの?そういえばベブンズドアーはなんであの人に全然効かなくて、あの女には効いたの?ちなみにあそこはお墓ってことでいいの?
などなど、疑問でいっぱい。
寝てしまっている夫にも聞けないので、自分の中でたくさんの疑問がもやもやと残りました。


でも、それが「岸辺露伴」なんです。
ドラマだって、見終わってすっきりしたことなんてありません。一応事件らしきものは解決しますけど、結局なんだったの?本当にもう大丈夫なの?という部分はわからず、見終わった後にもやもやと何かが残る。たぶんこういうことかな?というものはあっても確信はないし、全部を納得できるわけでもない。
それを含めて楽しむのが「岸辺露伴」なのかなと思ってます。

この映画でわかったことは、編集者の飯豊まりえは私が思っていたよりも遥かに最強だったということです。
仕方ない。この先も岸辺露伴の編集者であることを許そう。

 

おしまい。

 

 

 

またNHK岸辺露伴の新作つくってくれますように!