とっつぁんnote

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川村元気が怖い。

映画プロデューサー、川村元気を知っているでしょうか?※2023年8月20日に書いたやつです。
君の名は。』『電車男』『告白』『モテキ』『宇宙兄弟』『バクマン。』『怒り』『何者』『天気の子』『すずめの戸締り』
これ、全て川村元気が企画やプロデュースで関わっている作品です。
ドラえもん のび太の宝島』『ドラえもん のび太の新恐竜』では脚本まで書きました。
世界から猫が消えたなら』『億男』原作者です。小説も書いてます。

よく音楽界隈とか芸人とかで「一発屋」と呼ばれる人いるじゃないですか。マイナスの意味で使われることも多いと思うんですけど、個人的には一発当たるってすごいことで、それだけで十分じゃないかと思ってます。一発、誰でも知っているようなものをヒットさせた、流行させたっていうのは本当にすごいことで、みんなその世界でずっと売れ続けることを目指しているし、もちろんその方がいいのかもしれないですけど、一発当てられたことを、人生で一発も当てられたことのない私は本当に尊敬しています。
例えばいい映画に一本出られたなら、その映画にその姿を刻みつけているのであればそれだけでその人が生まれたことに十分意味があるのではと考えているタイプです。

そんな中の川村元気ですよ。何本当ててるんだって話です。ちょっとは他のやつに遠慮しろと思いつつ、川村元気が関わってなかったらヒット作は生まれていなかったかもしれないと思うと複雑です。
そもそも『君の名は。』をあそこまでヒットさせたのはめちゃくちゃすごいと思います。もちろん新海誠監督の才能もありますが、私の中で「君の名は。」まで新海誠は知る人ぞ知る、という立ち位置でした。美しい映像と少年少女の優しく心を抉るような、思春期を極めたようなナレーションは『君の名は。』以前から健在でしたし、『君の名は。』で一気に何か作品が変わったわけではありません。あくまでこれまでの作品の延長として『君の名は。』は存在しています。
にも関わらず、それまでアニメを見ない多くの人は知らなかったであろう新海誠を、ここまで誰もが知る監督にプロデュースしたのです。これまでプロデュースした有名作品の数々を見る限り、あのヒットは川村元気の沢山の計算のもとで導かれたものとしか思えず、その怖さに震えます。
エンタメ系の作品、文学的な作品、挑戦的な作品、アニメ作品、もはや何か得意なジャンルってあるんですか?と聞きたいくらいの幅の広さ。

そもそも私は映画を見る時にプロデューサーの名前なんて気にしていません。なんなら川村元気以外の人は知りません。何も気にしていないにも関わらず、逃れられないほどに興味のある映画に「川村元気」は存在していて、嫌でも目に入ってきたのです。

初めて川村元気を怖いと思ったときのことをよく覚えています。
それまでの数あるヒット作のプロデュースとして同じ名前があるということは認識していました。川村元気という人はきっととても才能があるんだろうなとのんきに思っておりました。あの頃の私に戻りたい…。
私はあまり音楽に詳しくないのですが、佐藤健の『何者』という映画を見た時、主題歌がとても印象に残り、当時YouTubeで何度もその曲を聴きました。それが中田ヤスタカ「NANIMONO」です。これ、feat.〇〇だったんですけど、私はフィーチャリングしてるその人を知らなかったんですね。Perfumeをプロデュースしてる中田ヤスタカと誰か知らん人が組んでるな〜、歌ってる人知らんけどなんか好きだな〜って思ってたんですよ。それが誰だか数年後気付きました。「Lemon」で日本中の心を掴んだ男、今や作品のお守りのようにアサインされている男、米津玄師です。
そして全てに気付いて震えました。私が珍しくいいと思った「NANIMONO」を歌っていたのは米津玄師であること、「NANIMONO」が主題歌だった映画『何者。』はあの川村元気の企画•プロデュースであること、主題歌にフィーチャリングさせてきたのも川村元気かもしれないこと、そして今の世の中で米津玄師を知らない人はいないであろうこと、私があの曲をいいと思ったのは川村元気の手によるものであったこと、もしかしたら世の中で流行しているものの全てが川村元気の策略であるかもしれないこと。
……全てが繋がって戦慄しました。川村元気怖すぎる。

そしてね、やってきましたよ。
そうです。その名も『怪物』。
監督は是枝裕和、脚本は坂元裕二、主演は安藤サクラという、映画好き、ドラマ好きならヨダレが止まらないラインナップ。極め付けは、カンヌ国際映画祭脚本賞クィア•パルム賞の受賞。
ご存知ですよね? そうです、企画•プロデュースは、川村元気です。
『怪物』の情報を見て「観たい」と思った瞬間にプロデュースが誰なのか気になりました。また元気なのかもしれないという不安、きっと元気だろうという諦め、元気じゃなかったらという一抹の寂しさ。
……元気だったーーーーーーーーーー!!!!!
もう川村元気の作品を見たいのか見たくないのか情緒不安定です。
あの本編とはちょっと違うテイストの予告も元気の計算だと思うと、その才能に足がすくみます。

川村元気が怖い。川村元気から逃げたい。川村元気のことを忘れたい。それでも同じくらいの強さで川村元気を見たい。
近年は小説や脚本まで書き出して、もはやどうしたらいいのかわかりません。これから何か想像もできないようなどでかいことをしでかすのではないかという恐怖に震えています。
川村元気川村元気川村元気

 

追加:ちなみに、佐藤健長澤まさみ、森七菜というとんでもなく魅力的な出演者を集めた来月公開の映画『四月になれば彼女は』も原作は川村元気です。

 

おしまい。