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明るく死について考えた『春になったら』&『不適切にもほどがある』最終回

この春に見ていた『さよならマエストロ』『相棒』『春になったら』『不適切にもほどがある』が終わってしまいました。さ、寂しい……。

 

 

(あ、こちら↑は1•2話と最終回しか見てません。)

 

 

 

『相棒』はもはやライフワークですし、最終回と言っても最終回じゃないので置いておいて、『春になったら』『不適切にもほどがある』の最終回感想も一応ちらっと書いておこうと思います。

 

 

◾️春になったら

穏やかで、優しさに溢れ、自然と生と死について考えされられるドラマでした。木梨さんも娘の奈緒もいつも明るいんですけど、どんなに楽しい瞬間でも常に別れの予感で満ちいて、ただ「明るい」というより「静かな明るさ」があるドラマでした。

 

最終回の「旅立ちの式」、素敵でしたよね。第9話の流れから、たぶん木梨さんの生前葬のようなものも含める形にするんだろうな、という想像をした人は多かったと思うんですけど、これが本当にいい式でした。

 

いつもお父さんと何気なく通っていた道で、歩道橋で、結婚式をあげるという発想が素敵。ウェディングプランナーのお2人、うちの娘(奈緒)が我儘言ってすみません、時間がない中でここまで準備してくださってありがとうございます!!!とお母さんの代わりに両手で手を握って頭を下げたくなりました。

 

笑顔溢れる式が終わり、木梨さんと奈緒が2人で桜を見ている時、急に私までなんとも言えない幸福な気持ちになって「ああ、このままドラマ終わってもいいかも。木梨さんはもうすぐ亡くなってしまうけど、ドラマとして木梨さんの死まで見届けなくてもいいかも」という気持ちが湧き上がりました。

 

でもそれは逃げですよね。CMが明けると既に木梨さんの葬儀が終わった後でした。居間で1人、木梨さんが遺した「人生ノート」を読む奈緒。「忘れられない日」には「瞳が生まれた日」、「伝えたいこと」には「全部伝えた!」と書かれていました。誰もいない居間の無音。底抜けに明るい、あのお父さんの声が響かない、無音。寂しさが押し寄せる奈緒の姿に泣きました。

 

理想の死に方ってなんですかね。事故等で突然死んでしまう可能性もあるし、長い闘病の末に亡くなることもある。木梨さんのように病気だとわかってからたった数ヶ月で亡くなることもある。木梨さんも亡くなるにはあまりに早いですが、こんな3ヶ月を過ごし、娘とあんな穏やかに桜を見れたのは、とても幸せな最後だったと思います。

 

そしてまたエンドロールがまた素敵でした!偶然会って一緒に家に帰ったいつかの帰り道。そんな何でもない父親と娘の日常が流れ、なんでもない日々がこんなに愛おしいものなんだと教えてくれました。誰か大切な人を亡くした時に思い出すのは、旅行やパーティーや、そういった特別な日ではなく、何気ないありふれた日常なのかもしれません。

 

日々忙しいと、そういう何でもない日常の大切さは忘れそうになります。ちなみに私は完全に忘れてます。休憩も取らずに仕事をし、子どもたちのお迎えに行き、急いで夕飯の支度をし、一緒にご飯を食べ、お風呂に入る。ひたすらその繰り返し。ひたすら土曜日までの日数を数えて過ごしています。そんな忙しない毎日ですが、お迎えに行った時の子供達の笑顔や、手を繋いで帰る帰り道、ぎゅーっと私に抱きついて中々寝てくれない寝かしつけの時間、そういった何でもない日々の何でもない時間を大事に過ごしていかなきゃな、と改めて思わせてくれました。(でも、息子よ、寝てくれ)

 

 

◾️不適切にもほどがある!

 

最後はもはやお祭りでした。ミュージカルは主要人物全員総出(八嶋さんもちゃっかり入ってる!)で「寛容に!」と歌う。現在も過去も全て入り混じっての「寛容に!」コール。

 

なんとCreepy Nutsも昭和に行って主題歌「二度寝」を披露。しかも、この人たち帰りのバス乗れてないですからね?Creepy Nutsもう令和に戻ってこれないんですか?大丈夫?井上少年がCreepy Nutsに感化されてミュージシャン目指したりしない?大丈夫??

 

大丈夫です!お祭りです!

なんと現在の秋津と渚もくっつきました!

私は今更Creepy Nuts二度寝」にハマりました!

……祭りじゃーーーー!!!!

 

そしてまさかの、市郎と純子が震災で亡くなってしまう運命についてどうするのかは不明なまま終了。

え?それについては触れないの?

そこを一番気にしていた私としては「えぇ?!ここで終わっちゃうの?!何、もう特番決まってんの?!」という感じで戸惑いでいっぱい。ラストはテロップ含めて「世にも奇妙な物語」っぽい感じでした。続編あるんでしょうか?

 

市郎が昭和に戻る日、市郎の見送りが少なすぎて、私が参加して傘増ししてあげたかったです……!多けりゃいいってもんじゃないけどね!見送りはね!

 

市郎、また令和に来てね!!!

 

 

 

おしまい。

 

 

 

 

 

 

たった3日間の青春が永遠に胸を打つ!映画『リンダ リンダ リンダ』

好きな映画なに?
と聞かれた時におすすめする映画の中の1本。
2005年公開、山下敦弘監督、ペ•ドゥナ主演の青春映画『リンダ リンダ リンダ』です。

とある地方都市の高校。文化祭を目前にしたある日、軽音楽部の5人組ガールズバンドのギタリストが指を骨折し、内輪揉めによってボーカルが脱退してしまう。残された3人のメンバーは途方に暮れながらも、成り行きから韓国人留学生ソンを新しいボーカルとして迎え、ザ・ブルーハーツコピーバンドを結成。文化祭最終日の本番に向けて練習を重ねていくが……。

いやまず、タイトルがめちゃくちゃよくないですか?
彼女たちが文化祭で披露するブルーハーツの「リンダ リンダ」から『リンダ リンダ リンダ』。
「女子高生がブルーハーツ。ボーカルは韓国からの留学生?!」というキャッチと、この『リンダ リンダ リンダ』というタイトルで俄然見たくなりました。

「リンダ リンダ」の後にもう1回「リンダ」付けようって言った人誰ですかね。ちょっと呼んできてもらっていいですか?
両手で手を握って「天才です」と心の底からお伝えしたい。このタイトル天才ですよ。一瞬でザ•ブルーハーツの曲に関わる映画だとわかるし、『リンダ リンダ リンダ』に「リンダ」をもう1回重ねることで本格的な「リンダ リンダ」から少し離れて可愛らしさも生まれてます。
例えば「リンダ リンダ リンダ リンダ」と4回も続いたら鬱陶しい。1回でもダメだし、2回じゃただの曲名としか思わない。3回が最高。
繰り返します。『リンダ リンダ リンダ』考えた人、天才。マジで天才。
いいタイトルつけてくださって有難うございます!と曲げられるだけ腰を曲げて頭を下げたい。


さて、本編。
軽音楽部の前田亜季香椎由宇関根史織が、たまたまそこにいた留学生のペ•ドゥナを勧誘して急遽4人でバンドを結成するんですけど、この4人の演奏と歌がね、うまくないんですよ。正直全然うまくない。4人の才能が合致して奇跡のコピーバンド誕生!とかじゃありません。
関根史織さんはロックバンド「Base Ball Bear」のベースということで彼女はキレキレなんだと思うんですけど、なにぶん他が初心者なので初めての音合わせの時とか「……お、おう……」という感じの出来栄え。ごくごく普通の女子高生がコピーバンドやってます、という空気感そのもの。 

バンドの4人はテンションがあまり高くありません。キャーキャー盛り上がるわけでもなく、ボソボソと会話をしながら、それでも少しずつ4人の距離が縮まっていくのがいいんです。


前田亜希たちがペ•ドゥナをバンドメンバーに誘ってから文化祭まではなんと3日間しかありません。
そのたった3日間の青春が、初めてこの映画を観てから20年近く経った今でも胸を打ちます。


「ソンさん」と呼んでいたペ•ドゥナを、「ソンちゃん」→「ソン」と呼ぶようになる過程がいい。
文化祭で『日韓交流文化展示会』というものをやらされているペ•ドゥナが、誰も観にこないその展示会の教室で昨夜の練習の疲れですっかり寝てしまっているところがいい。
韓国からの留学生という特殊な立場にいたペ•ドゥナが、ブルーハーツのロックを、あの歌詞を、力一杯歌うところがめちゃくちゃいい!!!

そうだよ、本当の交流ってこうなんだよ!
日韓交流文化展示会じゃないんだよ!
一緒に何かをすることで、くだらない話をすることで、相手のことを好きになって、相手のことを知りたいって思うんだよ!
その子がいるから、つまらなそうな展示室も行ってみようと思う、それが友情なんだよ!!!!
と酔っ払った熱いおっさんみたいに語りたくなってしまう映画です。

自分の人生にあの3日間があったなら。
それだけで一生生きていける!とまでは言いませんが、疲れた時とか寂しい時にふとあの3日間を思い出して、なんとなく励まされたり笑ってしまったりする気がします。


4人は、文化祭後はあれ以上仲良くなるとか、いつも一緒にいるようになるとか、そんな風にはならなかっただろうなと個人的には思っています。もちろん、校内で見かけたら手も振るだろうし、すれ違ったらちょっと話したりするだろうけど、4人の距離はあの3日間が1番近かった気がします。
それは寂しいことでもなんでもなくて、本当にいろんな偶然が重なってあの日があったという感じ。

不思議なんですけど、この映画なんとなくのんびりした時間が流れてるんですよね。3日で曲を完成させなきゃいけないって焦ってるはずなのに、何故か映画の空気はゆったりしていて、ちょっとくすんでいて、その空気感に妙なリアリティがあります。 


私が1番好きなのが、文化祭の前日の夜にこっそり学校に忍び込んで練習する4人のことを軽音楽部の顧問の先生が見つけるんですけど、注意しないところです。怒って追い出すでも、わざと明るく声をかけて「他の先生には見つかるなよ」と声をかけるでもなく、黙って見逃してあげる先生が好きです。

あの先生、私です。

私というか、かつて高校生だった人全員かもしれません。
その時がどんなに特別な時間なのか知ってる全員、その思い出がずっと残るものになると知っている全員があの先生の気持ちになりました。

文化祭本番も、生徒たちが4人のブルーハーツに盛り上がる中、体育館の後ろの方で先生は静かに聴いていました。

私もそうです。私があの場所にいても、4人の演奏に「いぇーーーい!!!へい!へい!」みたいなノリにはきっとなりません。
ただ、その羨ましいくらいの青春に、少しだけ微笑んで静かに聴くくらいしかできないと思います。

あの誰もいない昇降口も、誰もいない踊り廊下も、土砂降りの雨も、今も胸に迫ります。


そしてこの映画の前田亜希、めちゃくちゃかわいいです!!!もともとかわいいなとは思っていたんですけど、この映画の前田亜希は本当にかわいい。可愛さが異常。
好きな男の子に告白しようとして言えなかったりするんですけど、「言っちゃえよ〜!!!絶対大丈夫だからさ〜!!!!」って言いたくなります。
彼女の等身大の可愛さを刻みつけてくれた映画があってよかった。


他の青春映画とは一線を画す青春映画『リンダリンダリンダ』。
今の時期なら花粉症のせいにできるので、涙と鼻水ダラダラ流してご覧ください!

 


おしまい。

 

イラストは『プレバト』に影響されて初の一筆描き。
雰囲気。雰囲気が大事。

 

予想が見事に外れた映画『沈黙のパレード』

東野圭吾のベストセラー小説を原作に、福山雅治演じる天才物理学者・湯川学が難事件を鮮やかに解決していく姿を描く大ヒット作「ガリレオ」シリーズの劇場版第3作『沈黙のパレード』を見ました。

とりあえず言いたいんですけど、タイトルバックの演舞、オリンピックのイメージ映像か何かかと思いませんでした?
そこまでの流れや雰囲気を断ち切って、いきなりあれがどどん!と始まったので、なになに?オリンピックでも始まるの?と1人で焦りました。

オープニングから掴みはばっちり。
お祭りのステージで高校生•並木佐織(川床明日香)が歌う「jupiter」に乗せて、赤ちゃんの頃から高校生まで、彼女がどれほど愛されていたか、これからの希望に溢れていたかが周囲との関わりと併せて描かれ、最後に入る内海薫(柴咲コウ)のナレーションによって、彼女が既に死体で発見されたという事件の説明だとわかります。

うますぎ。少女がどんな風に愛されて輝いて生きてきたがこの短い時間にわかって、佐織が死んでいるということがもう悲しかったです。視聴者にいきなりここまで思わせる流れ天才。

脚本誰?!と思って調べたら、テレビと前2作のガリレオシリーズを手がけた福田靖でした。
そりゃあ、うまいですよね!大河『龍馬伝』、朝ドラ『まんぷく』も書かれている売れっ子脚本家ですよ。むしろ私みたいな奴が「うまい」なんて偉そうに言ってすみません。

 

さて、本編について。

※ここからネタバレになるので、ご覧になっていない方、これからご覧になる予定がある方はご覧になってからまた来てください!


満場一致だと思いますけど、蓮沼寛一(村上淳)がひどかった…!
ええ、語り合いましょう。あいつは異常です!
店に来たじゃないですか。あれ、ほんと何したかったんですか?完全に喧嘩売りに来ましたよね。
店のみんなの気持ちが伝染して私もムカつきが止まらず、「よし、もうみんなでこいつやっちゃお!やるしかない!」と声に出してました。
それくらい蓮沼はやばかった。被害者家族のお店に顔出しにいくなんて正気の沙汰とは思えませんよ。完全なサイコパス
村上淳がまたうまいんですよね。もうこいつには何言っても無駄だ、やるしかない、という殺意を抱かせる存在。
佐織の父親(ずん・飯尾和樹)もギリギリでしたけどね。私もあそこにいたら包丁握りしめて蓮沼に突進する自信あります。心の中で包丁握りしめました。

店に充満する憎悪の空気。
店にいる人全員(佐織の両親、妹、元恋人、歌の先生、佐織を可愛がっていた近所の人たち)の蓮沼を憎む気持ちがビシビシと伝わってきます。
もうこれはみんなで計画して、誰かのアリバイは別の誰かが証明して、その誰かのアリバイはまた別の誰かが証明して、というようにみんなで協力してあいつ(蓮沼)を殺すしかない、と思いながら見ていて気がつきました。私、初めて犯人を知らない状態で東野圭吾原作の映画を見ていたのです。

東野圭吾原作の映画化は多数ありますが、昔はかなり東野圭吾の小説を読んでいたので、映画化やドラマ化されたとしても内容を知った状態で見てたんです。
それが、近年あまり東野圭吾の小説を読んでいたなかったこともあり、今回初めて内容や結末を知らないまま『沈黙のパレード』を見ていました。
うむ、内容を知らないで見るのも新鮮でいい。

この時点でとりあえず動機があるのは関係者全員。
『沈黙のパレード』というタイトルから、おそらくイベントのパレード中にあの蓮沼は殺される。
殺人の方法は、個人的に、オリエント急行殺人事件(容疑者全員が犯人)。

そして物語は進み、蓮見は殺され、なんとなく本当にみんなで協力して(各自いろんな役割が振られて)やった感が漂ってきます。
お、マジでオリエント急行殺人事件式か?

ただ、今回の計画では、殺人が目的だったわけではなく、蓮沼を追い詰めるだけ追い詰めて、自白させようという計画だったことがわかります。
……まぁそれはそうですよね。殺人の計画を大勢に相談して実行に移すのはさすがに難しいですよね。←心なしか残念。

また、佐織の元恋人(岡山天音)が警察から怪しまれ、誰から話を持ちかけられたか確認された際に比較的するっと佐織の父親の幼馴染(田口浩正)の名前を出したところでおや?となりました。みんなでみんなを庇うのではないのか?
幼馴染は幼馴染で、別の人の名前を出したりして、みんなで庇い合う空気がなんだか薄い。

そして、本来は蓮沼に自白させる役割だった佐織の父親は、パレードの際に店で体調不良になった客を病院に運ぶため、計画の断念を連絡したことがわかります。
それでも蓮見は殺され、佐織を育てていた音楽プロデューサーの新倉直紀(椎名桔平)が自首します。

いくら可愛がっていたと言っても、音楽プロデューサーが実行犯になるか?

 

そこでピンときました。
パレードの時、殺された佐織の妹•夏美(出口夏希)のところに両親から電話がかかってきていたのです。店の客が倒れたと連絡を受けた夏美は急遽店に戻りました。

完璧なイレギュラー。
蓮見を1番憎んでいるはずの被害者の両親は、倒れた客を病院に連れていくため、に蓮見を殺せなくなってしまったのです。
そしてお店のために急遽家に戻った妹の夏美。

 

……最終的にやったの、妹やないか?

辻褄が合う。
姉を殺された妹。用意された舞台。疑われた人たちから出るいろんな人の名前。
みんな妹を庇ってるんじゃないか?

しかも妹は湯川先生(福山雅治)と仲がいい。
彼女が犯人だった場合の、主人公の苦悩まで描ける。あの賑やかなパレードと対比する、周囲の沈黙。

犯人は妹だ……!!!!!!!
(展開つらすぎるけど)


と、確信したんですけどね、違いました。
全然違いました。
妹、全く関係なしでした。


なんと佐織を殺したのが新倉直紀の妻の留美檀れい)だったのです。(しかもこれすら後から違うことがわかります)
子供ができたからデビューは諦めるとデビュー直前に留美に相談してきた佐織。必死に引き留める留美に、留美は自分に嫉妬してると佐織は叫び、それを聞いた留美は思わず佐織を突き飛ばしてしまったのです。そして倒れた佐織は運悪く工事中の資材に頭を打ちーー。

 

おいおいおいおいおいおいおいおい!!!!!

 

何だこの展開。めちゃくちゃ胸糞悪くないか?
そもそも、佐織はあんなにデビューしたそうだったのに、周囲にサポートしてもらいながら夢に向かって一直線っぽかったのに、あの佐織は幻だったの?佐織の死を悲しんで、蓮見にいらついて心の中で包丁を握った私はなんだった?

そして妊娠って…。彼氏何しとん。あんなに彼女の夢を応援してる感だしといて、なに高校生の彼女妊娠させとんじゃ!
……いや、その辺のことは何も描かれてなかったからわからない。どんなハプニングかわからないけど、とりあえず予期せぬハプニングということにしておいてやろう。(これで避妊してなかったらぶっ飛ばすぞ)

 

佐織よ。妊娠というハプニングがあったとして、情緒不安定になってるとして、それでも留美にあんなに失礼で残酷なことを言っていいことにはならないぞ。
お前これまでどんだけ新倉直紀と留美に世話になったと思ってんの?デビューが決まったあの段階で「辞めます」なんて、どんだけ沢山の人に迷惑かけると思ってんの?新倉さんのメンツも丸潰れで、新倉さんも信用をなくすんだよ?そういうこと、全部わかった上での「辞めます」なのか?

その上での「私に嫉妬してる」「先生には夢を押し付けられる」「見張られてストーカーみたい」発言は、誰でもカッとなって突き飛ばすわ。突き飛ばすか平手打ちするか水ぶっかけるかの3択だよ。たまたま留美は突き飛ばしただけ。

 

佐織が倒れた時、死んだと思ってその場を離れたのは留美もよくなかった。でも正気になってちゃんと戻ったのは偉かった。その隙に蓮見に佐織を運ばれたのは不運以外の何ものでもない。

挙句に、実は留美が突き飛ばして頭を打った段階では死んでなかった(やはり後から蓮見が殺した説が濃厚)ことまでわかる。
おい……留美を守るために新倉直紀は蓮見殺しちまったじゃねーか…。もうどうしたらいいんだよ…。

 

オープニングから佐織を「夢に向かってまっすぐないい子」と決めつけ、視聴者として最大限の憎悪を蓮見に向けていたこちらの気持ちは?
佐織に夢を叶えさせてあげたかった、デビューさせてやりたかったと思って佐織の死を悼んでいた我々の気持ちはどうしたらいいんですか?

佐織、デビュー辞めます言うとったじゃん。
高校生で同級生の彼氏の子を妊娠して、彼と結婚して子供産む言うとったじゃん。
世話になった人にとんでもない暴言浴びせとったじゃん。


……さようなら。可愛くて、素直で、まっすぐで、歌が大好きで、夢に向かって一生懸命で、周囲の人を大切にして、大切にされている佐織。
すべて私の中の幻想だった「佐織」。


どんなにいい子でも、そういう一面もあるかもしれない。

でも正直見たくなかったよ!こっちは人間不信だよ!


愛された少女のために、みんなで仇を討つ、じゃああまりに単純ですもんね。東野圭吾がそんなストーリーにはしないですよね。
でも、なんか、なんか、なんか……!

途中まで面白かったので多少残念な気持ちになりましたけど、復讐を美談にしてはいけないですし、人には周囲には見せない一面も持っているものでしょうし、何事も決めつけて物事を見てはいけないということで自分を納得させました。

あ、この物語の核として、かつて同じく殺人事件の容疑者だった蓮沼を逮捕できなかった草薙(北村一輝)の葛藤もあったのですが、感想書いてて全くそこに触れてませんでした。
北村さんは熱演でした。それについても語りたいです。


が、力尽きたので、
おしまい!

 

 

 

 

令和の今も『古畑任三郎』への愛をさけぶ

1994年から2006年に放送された「ファイナル」まで長きに渡って放送され、多くのファンを獲得した『古畑任三郎』シリーズ。
田村正和さん演じる警部補•古畑任三郎が、犯罪のアリバイやトリックを巧みな話術と卓越した推理力で崩していき、完璧と思われていた犯行の真相を解明していく超絶面白い刑事ドラマです。

 

私も大好きで、再放送を含めて何度も観ました。
で、ある時「そうだ、こんなに好きならBlu-rayを買おう!」と思って調べ、その値段を見てびびりました。
私が調べた時はちょうど在庫がほとんど売り切れている時期で、新品を購入しようとするとプレミアもついて70,000円くらいになっていたのです。


むりむりむりむり!!!
70,000円はさすがに高い!高すぎる涙!!!

 

…ということで、夢のcomplete Blu-ray boxは諦め、日本映画専門チャンネルで放送していた『古畑任三郎』を全て録画することで満足することにしました。
何回も見てるので、私が古畑任三郎をつけていると、夫は「変えていい?」とも聞かずに録画を停止してきます。
え、見てるんですけど。

 

基本的に「笑うカンガルー」とか「しばしのお別れ」とか「黒岩博士の恐怖」とか「すべて閣下の仕業」とかスペシャルは全部好きなんですけど、レギュラー回で1番好きなのは第2シーズン最終回「ニューヨークでの出来事」(犯人:鈴木保奈美)です。

これ、バスの中で鈴木保奈美が自分が過去に起こした完全犯罪の謎を古畑に話すだけのストーリーです。
ほとんどがバスの中の会話劇で、過去の事件の話をするときも回想シーンは一切入りません。鈴木保奈美はトランプの絵札を使って過去の事件を説明し、どうやって完全犯罪が行われたのか古畑に推理させます。

 

すごくないですか?

 

普通はどうしたって回想シーン入れたくなります。だってこれ、第2シリーズの最終回なんですよ?ちょっと気合入れた感じにしたいじゃないですか。

それを、既にアメリカで「無罪」の判決が出ている事件の謎を言葉だけで説明するんです。たとえ古畑が事件を暴いたとしても、彼女はもう「無罪」。逮捕されることもなければ、何か罪を背負うわけでもない。

しかも、シーンとして、バスの中+途中立ち寄るドライブインのコーヒーショップ、で完結させています。

 

脚本の三谷幸喜、天才。やること、考えることが神。君の膵臓を食べたい。彼の脳みそを食べたい。
ラスト、事件を解いた古畑に背を向け、サングラスを取って堂々と歩き出す鈴木保奈美がかっこよすぎ!!!

なんなら、このドラマ、主題歌ないところもかっこよくないですか?
ドラマ全盛期でお金もあったのかもしれないですけど、プロデューサーか誰かが、「このドラマに主題歌はいらない」って判断したわけですよね。ドラマの主題歌って売れますし、絶対「なんかしら主題歌あってもいいんじゃない?」って声もあったと思うんです。それを断固として「主題歌なしでいく」と決めたところがこのドラマのオープニング(ドゥル〜ル、ドゥル〜ル、ドゥル〜ルル〜)に繋がってると思うと泣けます。

 

えらい人「主題歌はいらない?何言ってるんだ、タイアップの要望がもうきてるんだよ」
プロデューサー「いえ!このドラマにタイアップの主題歌はいりません!なしにしてください!」
えらい人「主題歌があろうがなかろうが視聴率は変わらんだろ」
プロデューサー「確かに視聴率は変わらないかもしれません!ですが、古畑任三郎は必ず話題になります。我が社のドラマを代表するドラマになると確信しています!三谷さんと田村正和さんによって作られる古畑任三郎を、私は完璧なものにしたい!余分なものは削ぎ落としたい!この曲のみで行かせてください!!!!」
(曲が流れる。ドゥル〜ル、ドゥル〜ル、ドゥル〜ルル〜)
えらい人「…わかった。お前にすべて任せる!」

 

出典:とっつぁんの頭の中


プロデューサー!!!粘ってくれてありがとう!!!!誰だか知らんがえらい人!!!漢気を見せてくれてありがとう!!!
【注意】もちろんすべて妄想です。

 


古畑さんって本当に嫌な攻め方で犯人を少しずつ少しずつ追い込んでいくので、なぜか途中から犯人がかわいそうになってきて、「頑張れ!顔引き攣ってるぞ!」と犯人を応援したいような謎の心理状態になります。

挙句に「いつから気づいてた?」とトリックに自信のあった犯人たちが古畑さんに聞くんですけど、古畑さんは「最初からあなたが怪しいと思ってましたよ」と容赦なく微笑むのです。

 

……やめてあげて?

 

最初からバレてたとか恥ずかしすぎるでしょ?あんな必死に古畑さんに食らいつこうとしてたのに、食らいついてるつもりだったのに、最初からわかってたって、犯人たちも恥ずかしすぎるよ!!!

と言いながら、そんなくだりも含めて古畑任三郎が大好きです。

 

古畑任三郎の新作はもう見ることはできませんが、古畑さんは今もどこかであのキラキラの自転車に乗りつつ、朝の呼び出しに嫌そうにしながら現場に向かい、会った瞬間から犯人にロックオンして犯人を追い詰めてる気がします。


あ、ちなみに調べてみたところ、現在complete Blu-ray boxは新品も多数取扱があるようで、なんと40,000円ちょっとで購入できそうでした!(40,000円?!え、じゃあ買おうかな…)※2023年11月7日に買いたやつです。

古畑任三郎 vs SMAP」とか、「間違えられた男」(犯人:風間杜夫)とか、権利の関係で再放送されないものもあるんですよね。ちなみに同じく滅多に再放送されない「赤か、青か」(犯人:木村拓哉)は、木村拓哉主演の映画『マスカレード•ホテル』公開記念としてフジテレビで再放送したのを見逃さずに録画しております。

なので、実質「古畑任三郎 vs SMAP」と「間違えられた男」2本のためにcomplete Blu-ray boxを購入するかどうかなんですよ。

どうせ買うならやっぱりcomplete Blu-ray boxがほしいですし…。

 

子供たちが無事に巣立った時に買おうかな、でもその時もまだ売ってるかな。(下の子、まだ4歳です)

そんなことを果てしなく悩みつつ、録画の古畑任三郎をこれからも何度も見たいと思います。

 

おしまい。

 

恩田陸『ドミノ 』を超豪華キャストで映画化したらせ

先日、伊坂幸太郎の『フーガはユーガ』を映画化するとしたら、という記事を書きました。※2023年10月9日に書いたやつです。

これ、そもそも夫から「映画化したい原作って何かある?」と聞かれたのがきっかけなんです。

夫が映画関係の人と会う予定があるらしく、その時の話のネタがほしいみたいで。

『フーガはユーガ』で興行収入40億&日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を狙うことを決めた私は満足していたのですが、夫から「『フーガはユーガ』わかったけど、他にあと一つくらい候補出してよ」と追加候補を求められたので再び考えてみました。
うわ、私優しい!

うーん。何がいいですかね。
『フーガはユーガ』が1人2役の単独主演なんで、今度は超豪華キャストを視野に入れてみますか。現在はファンビジネスがけっこう大事ですからね。超豪華キャストの映画。まずそれだけで掴みはOK。

ただ内容が伴わないとヒットは難しい。お客さんを舐めず、出演者だけではなくて内容でも勝負しないとですよね。登場人物が多くて、しかも面白い小説。できたら原作者の名前で期待値が上がれば更によし。

恩田陸の『ドミノ 』、いかがでしょうか。

恩田陸は『夜のピクニック』で本屋大賞。『蜜蜂と遠雷』で本屋大賞直木賞をダブル受賞した実力派です。

amazon『ドミノ 』概要より)
一億円の契約書を待つ、締切直前のオフィス。オーディション中、下剤を盛られた子役の少女。推理力を競い合う大学生。別れを画策する青年実業家。待ち合わせ場所に行き着けない老人。老人の句会仲間の警察OBたち。真夏の東京駅、27人と1匹の登場人物はそれぞれに、何かが起こる瞬間を待っていた。迫りくるタイムリミット、もつれ合う人々、見知らぬ者同士がすれ違うその一瞬、運命のドミノが次々と倒れてゆく! 


やばい。もう楽しそう。もうヒットしそう。もう40億狙えそう。明るい気分の時も暗い気分の時も、景気がよくても悪くても、楽しい気分で観れるパニックコメディ。
よし、『ドミノ 』でいきましょう!

ただ『ドミノ 』の何が問題って東京駅が舞台ってとこなんですよね。
だって、あの、駅構内をバイクで(ものすごいスピードで)走るシーンがあるんです。

カットする?カットしかない?
いや、カットするくらいなら映画自体撮らなくていい。
何か、何か方法ありますよね?そこだけセットで撮影とか?最新のCG技術でどうにかできません?

…よし、とりあえずどうにかできることにしましょう!

登場人物もめちゃくちゃ多いです。
なんと27人(+1匹)!

豪華キャストが揃うと逆に不完全燃焼を起こすこともありますが、ちょい役でも出し惜しみせず、楽しんで出てくれる人を出していきましょう。
〇〇の無駄遣い、みたいに言うファンを黙らせるためにもめちゃくちゃ面白い映画にしてやります。

小説で登場人物多いと誰が誰だかわからなくなって最初混乱しますけど、豪華キャストの実写だったら心配なし。
無名の人ばっかりだったらそれこそ誰が誰だったっけ状態になりますけど、有名俳優を使うことによって俳優の顔が目印になりますから観客も混乱しないで済みます。群像劇こそ実写が向いてるし、豪華キャストが必須になるんじゃないでしょうか。

ただ、群像劇のドラマや映画って定期的にありますけど、そこまでヒットしたものってあんまり思い浮かばない気もします。個々のストーリーがどうしても浅くなりがちだからですかね。

でも大丈夫です。

脚本は『ALWAYS 三丁目の夕日』の古沢良太に、久しぶりの原作ものを書いてもらいましょう。『ALWAYS 三丁目の夕日』は群像劇を群像劇と感じさせないほどの名作。
ほぼ一つの部屋の中だけで物語が完結する『キサラギ』も傑作。古沢良太天才。

現在大河ドラマ『どうする家康』を書いていらっしゃいますけど、それはそれは大変だと思います。絶対今は現代の楽しい話書きたいと思ってると思うんで、大河が終わったタイミングで「1ヶ月休んでいただいた後、恩田陸先生の『ドミノ 』書いていただけませんか?」とお誘いします。
ただ、豪華キャストの群像劇というところで同じ古沢良太脚本の『エイプリルフールズ』はそこまでのヒットにならなかったのがやや気がかりに思われる方もいますかね?

勇気を持ちましょう。
そんなこと言ったら、ラブストーリーでも戦闘ものでもコメディでもシリアスでも失敗がないジャンルなんてありません。そこを乗り越えて新しい道を切り開くのです!!!

さぁ、舞台は整いました。
あとは出演者決めていきますか。

27人考えるのは大変なので、とりあえず主要キャストだけでも決めてみます?

加藤えり子(23)…関東生命八重洲支店事務職員
広瀬すず、もしくは清原果耶。ええ、しょっぱなから飛ばします。朝ドラ女優。ここは大事なとこなんで押さえとかないとね。
うわー、どっちがいいかな。どっちも想像つくんだよな。広瀬すずは誰にも負けない華があるし、清原果耶はえり子にリアリティーを持たせられそうだし…。
うーん…僅差で清原果耶で!
果耶、頼むぞ!!!

■鮎川麻里花(10)…オーディションを受ける小学生
白山乃愛。
正直、今、子役の子あんまりわかんないんですけど、『Dr.チョコレート』で印象に残っているのと、あのメンツで坂口健太郎の2番手としてやり切った実績、顔の売れ方で決めました。

■吾妻俊策(71)…筑波山麓で農業を営む
柄本明ちょっと怖いかな。西田敏行もいいな。
あとは小日向文世
あ!小日向さんいい!東京駅で迷子になって困っててほしい。優しい笑顔でほのぼのさせてほしい。

■雫石貫三(66)…警視庁捜査四課OB
渡辺謙、もしくは役所広司。どっちも大御所。
うーん、役所広司かな。
え、無理ですかね?
いや、諦めちゃいけません!大物にも怯まずアタックしていきましょう!
こちらの『ドミノ 』映画化に対する熱意を伝えるのです!世界に「TOKYO」と「日本映画」をあらためてPRするんです!
人を動かすには、最後は熱意です!!!

■市橋健児(24)…『ぴざーや』習志野店店長
原作を読んだイメージは大事にしつつ、年齢は少しあげさせてもらって柳楽優弥でお願いします。
どう考えてもぴったりな気がしてます!

■川添健太郎(36)…過激派「まだら紐」メンバー
めちゃくちゃ考えました。30代後半で考えると、この辺の層厚いんですよ。松坂桃李岡田将生松山ケンイチあたりとか。濱田岳とかいう手もあります。
どの人でも合うようなちょっと違うような、と思っていたら降りてきたましたよ。
吉沢亮!!!
こっちは設定年齢より若いですが、ピーンときたので吉沢亮で行きたいと思います。

かなりいい感じじゃないですか?
もうちょっと行ってみます?

•北上和美(28)…吉岡里帆、もしくは広瀬アリス。うーん、えり子が清原果耶だから、並んだ時のバランスを取って広瀬アリスかな。

•田上優子(22)…橋本環奈
小柄な体で見事な一本背負いを決めて欲しい。

•江崎春奈(20)…茅島みずき
この子好きなんですよね。ぶすっとした顔が似合う。

•森永忠司(21)…眞栄田郷敦
茅島みずきと言い争いしている絵が似合いそう。

•額賀義人(48)…関太(タイムマシーン3号
汗をかきながら頑張ってほしいし、是非バイクの後ろで伸びてほしい。

•浅田佳代子(29)…白石麻衣
美人だけど、ちょっとズレてて勘違いで暴走する感じをヒステリックにやってほしい。

•結城正博(34)…岡田将生(こっちにします)
かっこよくて女にだらしないナルシストもうまく演じてくれそう。

•落合美江(30)…菜々緒
スタイルがいい美人の設定を死守。

こんな感じでどうでしょう?
もう50億狙っていきますか!

しかもですよ。もしこれがめちゃくちゃヒットするとするじゃないですか。続編やりたいじゃないですか。

安心してください。続編あります。
その名も『ドミノin上海』。
二匹目のドジョウも狙えます!!!やっほーい!!!

あ、エンドロールの最後には「良い子は絶対絶対マネしないでね」とデカデカと注意書きださないとですね。


おしまい。

映画『リバー、流れないでよ』ゆったりドタバタ、不思議な空気のSFコメディ!

 

『不適切にもほどがある!』第3話で曽我と再会したことをきっかけに、やっぱり観たいとヨーロッパ企画の映画『リバー、流れないでよ』を配信で観ました。

 

 

前から見たかったのですが、加入している見放題の配信には入ってなかったので、久しぶりにレンタル(有料)で観ました。有料で観たのは『コンフィデンスマン』の映画以来です。

 

 

『リバー、流れないでよ』(2023)は上田誠が原案・脚本を、映像ディレクターの山口淳太が監督を務める、ヨーロッパ企画制作によるオリジナル長編映画第2弾てす。

 

 

舞台は、京都・貴船の老舗料理旅館「ふじや」。

静かな冬の貴船。ふじやで働く仲居のミコトは、別館裏の貴船川のほとりに佇んでいたところを女将に呼ばれ仕事へと戻る。

だが2分後、なぜか再び先ほどと同じく貴船川を前にしている。

ミコトだけではない、番頭や仲居、料理人、宿泊客たちはみな異変を感じ始めた。

ずっと熱くならない熱燗。なくならない〆の雑炊。永遠に出られない風呂場。自分たちが「ループ」しているのだ。しかもちょうど2分間!

2分経つと時間が巻き戻り、全員元にいた場所に戻ってしまう。そして、それぞれの“記憶”だけは引き継がれ、連続している。

そのループから抜け出したい人、とどまりたい人、それぞれの感情は乱れ始め、

それに合わせるように雪が降ったりやんだり、貴船世界線が少しずつバグを起こす。

力を合わせ原因究明に臨む皆を見つつ、ミコトは一人複雑な思いを抱えていた―――。

 

 

2分て!!!

2分って凄くないですか?めちゃくちゃ短いですよ?!

 

例えば、短い時間を繰り返す映画を作ろうと思ったとして、2分にします?

2分という短さに日和って、なんとなく5分くらいにしちゃいそうじゃないですか?もしくは3分。ウルトラマンもそれで敵をやっつけられたし、と考えて超絶短くても3分。

 

 

そもそも同じ時間が繰り返すということは、時間が巻き戻った時には自分もスタート地点に戻っちゃうわけですよ。誰かと話していても、一回自分の立ち位置(映画では「初期位置」と呼んでいる)に戻って、そこからまた話していた誰かと会わないといけない。

……めちゃくちゃ時間ロス!

 

 

 

映画の中で2分間のループが始まった時、これは大変だと思いました。

仲居である主人公のミコトは、別館裏の貴船川のほとりからスタート。そこから階段を登り、別館の入り口で番頭(これが曽我、いえ、永野宗典さんです)と会い、部屋を掃除したり、あっちの客に呼ばれたりこっちの客に呼ばれたり、の繰り返し。

 

で、同じようなシーンを見せられるのは辛くなりそうかな、と思ったんです。

確かに、川のほとりの初期位置からスタートして別館入り口あたりで番頭と会ったり女将と会ったり、同じ仲居の仲間と会ったり、のくだりは何度も繰り返します。

2分でこれ繰り返すってキツそうじゃないですか?

 

 

それがですね、何故だか全然大丈夫なんです。

 

 

 

雑炊が永遠に食べ終わらないと言われたら味変になるものを持っていったり、風呂から永遠に出られないと言われたら柚木湯にできるよう柚木を持って行ったりと、なんだかみんなとても建設的。

多少パニックになるものの、すぐに現状を受け入れ、いつかまぁ元に戻るだろうと目の前のお客さんの対応を続けます。

 

ミコトが旅館の入り口で誰かと落ち合って客のトラブルを解決するというくだりは何度も繰り返されるものの、次のターンは何が起こるのかなとワクワク。

 

途中、これからについて話し合おう!と旅館のスタッフが本館に集合するんですけど、せっかく集まっても話が脱線してターンが終了、お客さんも合流してきてターンが終了、と飽きのこない2分間が続きます。

 

 

しかも『リバー、流れないでよ』は2分のループを本当に2分間ワンカットで撮っていて、実際に劇中の1ターンの時間もきちんと2分間になっているらしいです(2分より長くても2分より短くても撮り直しだったとのこと)。

 

 

めちゃくちゃ厳しーーーーーー!!!!

 

 

出演者の皆さん、お疲れ様でした!何度も階段を登ったカメラマンさん、音声さん、お疲れ様でした!

 

 

この映画、面白いのが「時間軸のズレ」で天候が安定していないところです。

同じ時間を繰り返しているはずなのに、よく晴れていたり、雪が降り出していたり、めちゃくちゃ積もっているかと思えば、雪が消えていたり。

あの景色の変化もループを楽しめる1つになっていると思います。

 

 

さて、時間がループしてる、というとんでもない状況の中でも、ドタバタしつつも何故か前向きに明るくループしていた登場人物たちですが、やはりループに精神が疲れていき、取っ組み合いの喧嘩が起きたり、3階から身を投げてしまったり、時のループに混乱して自殺してしまったりと不穏な空気が続きます。

 

時間が戻るとはいえ、なかなかヘビーな状況ですが、この映画のよいところはそのターンがサクッと終わるところです。

しかも1回死んだ人たちがあまりにあっけらかんとしてるので観てるこっちが「おいおいおいおい、さっきのターンがループのラストだったらどうすんだよ!!!」と危機感を煽ってやりたくなりました。よかったよ。ループが続いてよかったよ。

 

 

 

何で時間がループしてたかというラストも好き。

サマータイムマシン•ブルース』にしろ、

『時をかけるな、恋人たち』にしろ、

いつもタイムマシンがショボいところが好きです!

 

 

そして皆さま、2分って短いようで実はけっこう長いです。

熱燗はできませんし、雑炊は食べ終わりません。でも、掃除も終えられるし、喧嘩もできるし、お風呂から本館まで行くこともできるし、愛を深めることも、愛の逃避行をすることもできるんです。

っていうことはですよ。1時間あれば、1日あれば、1週間あれば、1ヶ月もあれば、人間なんでもできちゃうんじゃないかなという感じがしてきます。

日々の仕事や家事、育児に追われて、ついつい「時間がない」と思いがちですけど、もしかしたら時間って使い方によっては無限にあるのかもしれません。

そんなことを考えた映画『リバー、流れないでよ』でした。

 

 

 

おしまい!

 

 

 

 

 

ちなみに私は、お風呂でループを繰り返しているお客さんのために曽我(番頭)がゆずを用意しているところが1番キュンときました。

たとえ持って行ったとしておそらく1分もゆず湯を楽しめないのにそれでも前向きに少しでもお客さんを楽しませようとしているところが好き。

青山剛昌×東野圭吾 | 「このミステリーがすごい」よだれものの対談で長年の謎が解けた話

皆さま、『このミステリーがすごい2024年版』に掲載されている『名探偵コナン青山剛昌先生と、『容疑者Xの献身東野圭吾先生の対談ご覧になりました?
ファンにとって見逃せない、まさにヨダレものの対談…。やるな『このミス』。
 

私は本屋で立ち読みして満足しかけたのですが、やっぱり買おうと思い直して再び本屋に戻って購入しました(ので、立ち読みについては何卒お許しください)!

ちなみに、『名探偵コナン』は小学生の頃〜大学生まで漫画を買い、映画はアラフォーになった今でも毎年観に行き、数年前まで工藤新一に恋し続け、現在は安室の女(安室透ファン)です。

東野圭吾は大学生の頃に『秘密』『白夜行』あたりでどハマりし、その時点で発売されていた本は全て読んでいたかと思います。

大学生の頃は月20冊近く小説を読んでいたので、時々、「本を読みたいのに読みたい本がない」という状況に度々陥るんですよ。そんな時にいつもそばにいたのが東野圭吾です。
多数出版されてますし、何より新作を書くのも早い。あそこまで売れっ子にも関わらずコンスタントに本を出してくださる有り難さ。


そもそも、代表作が多すぎてもはや何を代表作と言っていいのかもわからないんですよね。
先ほど『容疑者Xの献身東野圭吾、と書きましたが、これも「どうしようかな」と思いつつ、直木賞受賞ということで1番わかりやすいかなと書いただけです。
個人的には『秘密』『白夜行』あたりが何度も読んだ好きな本ですし、どちらも映画化•ドラマ化•舞台化のトリプル決めて知名度も高いと思うんですけど、こういう時はやっぱり直木賞かな、ということでの『容疑者Xの献身』です。


さて、対談の詳細は『このミステリーがすごい』でご覧いただくとして(うちの近所の本屋では山積みされてます)、一つだけ長年の謎が解けたのでそこだけ話させてください。

※これから買って読もうと思っている方はここまでにして、今すぐ本屋に向かってください!


東野圭吾の『祈りの幕が下りる時』を読んだ時の衝撃たるや。

ご覧になった方は分かっていただけると思います。

話自体もめちゃくちゃ面白かったんですけど、それより何より、加賀恭一郎の母親が失踪した謎に迫ってるところに驚愕しました。
だって、母親が失踪したって話、加賀恭一郎シリーズ(つまり「新参者」シリーズ)の初期に出てきた話なんですよ。

母親の失踪について初めて触れた『卒業』は1986年発行。
祈りの幕が下りる時』は2013年発行。

その間、なんと27年。

設定考えておいて、温めて後から出すっていうのはよくあると思いますよ。
でも、27年ですよ……?

温めすぎにもほどがあるだろうがーーーー!!!!!!

この素晴らしい話を?まさか東野圭吾は27年前からずっと温めてきた?

嘘だろ……。
怖い。そうだったら、怖すぎる。

もし『卒業』を書いた段階で既に母親の失踪の理由を考えていたのだとしたら、なぜ27年間も書かずにいられた?あんなに素晴らしい話を思いついておいて27年間も書かないなんて可能なのか?その間も加賀恭一郎シリーズは書いているにも関わらず?シリーズの最後に残しておくため、書くタイミングを伺い続けた?

まさか。
あんな話を思いついておいて27年も書かないなんて正気じゃない。

でも事実、1986年に母親の失踪については触れているし、理由もないのにそんなこと書くわけない。
ということは、やっぱり最初から決めていたとしか思えない。決めていて、その上で27年も書かなかった……。


怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


ってずっと思ってきたんですけど、なんと最初から決めてたわけじゃなかったということが今回の対談でわかりました。
なんかね、シリーズものは自分が書いた過去のものを見て、使えそうなネタがないか探すそうです。で、後から何で失踪したのか考えるようになって、最終的に『祈りの幕が下りる時』ができたそうな。
昔から考えてたわけじゃなかったんですって!
あー、よかった!あんな話思いついて27年もか書かないなんてどんな変人かと思って震えてましたよ。よかったよかった。

…………って、え、それはそれでめちゃくちゃすごくないですか?


だって、特に何があったかとか考えてたわけじゃなくて、母親は失踪したことにしてたんですよ?
普通失踪したことにさせます?

その失踪の謎から、父親との確執、加賀恭一郎が日本橋署にいる理由に全て繋がっているんです。

なんという鮮やかさ。
なんという切なさ。
なんという悲しさ。
なんという悲惨さ。
そして、なんという子を思う親のあたたかさ。
なんという、親を思う子の真っすぐさ。


人気シリーズのラストに相応しい傑作です。
ご覧になっていない方はぜひ!


最近あんまり読んでなかったけど、久しぶりにまた東野圭吾読んでみようかな〜。


おしまい

 

コナンの好きなエピソードランキングも載ってたんてますけど全然内容思い出せませんでした…
実家に帰ったら何冊か持ってこようと思います。