とっつぁんnote

ドラマや映画、エンタメ諸々について

拝啓、ドラマ『相棒』ファンのみなさま

season22『相棒』ご覧になってますか?

私はですね、
なんとつい先日までseason22がスタートしていることにすら気づいてませんでした……。※2023年11月29日に書いたやつです。


マジです。
私はもう二度と『相棒』ファンと名乗れません。


ずっと見続けてきたのに。
新しいクールが始まる時は常に、『相棒』とあと何見ようかな〜と考えてきたのに。
産休、育休中も午後に再放送している『相棒』を見るのを楽しみにしてきたのに。
土曜日ワイド劇場で放送している時から見てきたのに。

こんなことをしておきながら

 

『相棒』のことに気づいてなかったんです!!!
右京さん、本当にごめんなさい。


気づいた時はびっくりました。
今年、小学生の頃からの友人に誕生日プレゼントを送るのを初めて忘れて、しかも2ヶ月後に「そういや今年って何あげたんだっけ」と考えてようやくあげてないことに気づいてめちゃくちゃびっくりしたんですけど、その時と同じくらいびっくりしました。


もしかして今って『相棒』の新seasonやってんの?いやいや、私が見逃すわけないって。この録画(我が家は全録です)、再放送かなんか?
……新しいやつやないかい!!!もう5話もやっとるじゃん!!!久しぶりに陣川くんまで出てるじゃんよ!!!陣川ーーーーー!!!

と泣きそうになりながら急いで1話〜3話まで見たところです。
それもこれも、月刊テレビジョンの相関図に『相棒』が載っていなかったせいです。まだ情報が出ていないものなら仕方ないですけど、『相棒』の相関図なんてずっと同じの使えるんだから載せてくれてもいいじゃないか!というか載せてくれよ!こっちはアイドルたちのインタビューを見るために買ってんじゃないんだよ!!!!(責任転嫁)


さて、『相棒』の記念すべき1話から見ている私ですが、最初からファンだったわけではもちろんなくて、毎週見ている土曜ワイド劇場の一つでした。

あ、これまたやってる。
あ、またやってる。
他のみたいにシリーズになるのかな。うんうん。
え?今度連ドラでやるの?

と思ったことはよく覚えています。
その後はまぁタイミングが合えば見る、というゆるゆるファンな感じで過ごしていたのですが、『相棒』への見方が変わったのは、2007年の元旦に放送されたスペシャル「バベルの塔〜史上最悪のカウントダウン!」です。

 

晦日。小野田(岸部一徳)に衆議院議員・富永(冨家規政)のパーティーに強引に連れていかれた右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は、富永のボディガードをやらされる羽目に。都市化再開発計画の急進派・富永は左翼過激派の梶に命を狙われていた。会場では元刑事の楓(大塚寧々)が富永の身辺を警護。右京は楓が耳の不自由な娘はるか(佐々木麻緒)を連れてきていることから、楓が富永と婚約したことを察知する。

番組公式サイトより

 

これがですね、めちゃくちゃ面白かったんです。面白い上に感動もあって、おいおい『相棒』ってこんなすごかったのかよ…と私は元旦から呆然としました。内容としても元旦に見るということを考えてもとても後味がよく、その辺の本格派のスペシャルドラマや映画よりよっぽどいいじゃん、とイビキをかいている父親を横目に1人感動に包まれました。
『相棒』でこのストーリーを書いてきた脚本の古沢良太に脱帽。土曜ワイドから連ドラになった『相棒』を、ただのお決まりの刑事シリーズとして終わらせず、一つの作品として昇華させた傑作です。

古沢良太ってやっぱりすごいんですよ。
今回の相棒おもしろいなと思うと古沢良太が書いていることが何度かありました。
「ついてない女」「つきすぎてる女」「右京、風邪をひく」「BIRTH DAY」「待ちぼうけ」など力作揃い。
超絶売れっ子になってしまったためか、古沢良太は暫く『相棒』を書いてくれていないのですが、1seasonにつき1話だけでもまた書いてくれないかなとずっと思っています。言い方悪いかもしれないですけど、まぁ普通だね、という回があったとしても、時々ものすごく面白い回に出会うことがあるのが『相棒』の魅力で、それがあるから『相棒』をやめられないのです。

古沢良太の作品以外で強烈に印象に残っているのが脚本•櫻井武晴の「ありふれた殺人」です。

 

路上で寝ている男を注意した薫(寺脇康文)は、その男から20年前に人を殺した、と突然告白される。小見山(信太昌之)というその男は、20年前、当時高校生だった坪井里子(小林千恵)を殺害。事件は5年前に時効が成立、民事の時効も1カ月前に成立していた。その小見山がなぜ今ごろ自首したのか。右京(水谷豊)や薫に問い詰められた小見山は誰かに狙われている、というだけで……

番組公式サイトより

 

もうだいぶ前の作品ですし、何度も再放送しているのでネタバレしちゃいますが、昔殺人事件を起こしながらも既に時効(現在は、殺人事件等の時効は廃止されています)を迎えた男が、昔の事件とは全く関係ない、隣に住む男に殺されるというのが大まかなストーリーです。

昔、女子高生を殺した男・小見山が「誰かに狙われている」と自首して助けを求めたためそれがニュースになり、殺された女子高生の両親は犯人の名前を教えて欲しいと特命係のところに何度もやってきてお願いしますが、もちろん教えることはできません。
最終的に小見山は殺されてしまいますが、小見山が20年前の殺人犯ということは伏せられ、ただの被害者として事件は発表されます。世間的には「ありふれた殺人」事件です。
小見山が殺されたニュースは知りつつも、小見山が自分の娘を殺した犯人だとは知らない女子高生の両親は、特命係に「犯人を教えてほしい」とお願いにやってきます。

その姿が切ない。切ないというか苦しい。
「教えられません」と断る亀山も苦しい。
この物語を思い出すだけで、私も今でも苦しい。

小見山は昔の事件のことを全く反省していませんでしたし、女子高生の両親に謝る気持ちも全く持っていませんでした。殺されたって納得できない、もっともっと苦しませて死ぬほど後悔させてやりたかったと思うくらいどうしようもない男でした。でも、そんな男でも、加害者でも、守らなければいけない。
時効制度や加害者の人権、被害者家族の苦しみについて改めて考えさせられる名作です。

しかもタイトル秀逸すぎませんか?
「ありふれた殺人」、そんなものこの世にないはずなのに、小見山が殺された事件は、まさにただの「ありふれた殺人」でした。


『相棒』はよく再放送やってますし、テレ朝チャンネル等でも過去の作品を見られると思いますので、ご覧になっていない方は是非一度ご覧ください。『相棒』の底力を感じるかと思います!

『相棒』ファンの皆様、私も急いで最新話まで追いつきますので、放送が終わるその日まで、『相棒』の(ちょい)ファンでいさせてください。

かしこ。